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バンド演奏が禁止になった

 学校は、ぼちぼち夏休みになりますが、休みが終わって秋になると、学園祭の季節ですね。学園祭といえば、ギュイーンギュイーンとギターがうなるバンド演奏が華というものだと考えるのは、私の偏見でしょうか。バンドなくして学園祭とは言えないと思うのですが、どうでしょう。
 
 もう、ずいぶん昔のことですが、私も高校生だったことがあります。まあ誰でも同じように年を取るわけですから、あたりまえですね。
 私の場合、中学3年生ごろから始めたギターに取り憑かれ、高校時代はギターばかり弾いていました。2年生で入部した軽音楽部では、なんとなく流れでバンドができ、その年の秋の学園祭には、体育館で演奏をしておりました。また3年生では教室を一つ借り切って、ライブハウスのようなものをやったのを覚えています(飲み物は出ませんでしたが)。
 ほかの学校に通っていた友人に聞いても、高校の学園祭といえば、だいたいがバンド演奏があり、この日ばかりは日ごろうるさい先生方も目をつむってくださったようです。バンド演奏から始まり、各種模擬店、お化け屋敷などさまざまな企画が披露され、当事者である生徒は寝る間も惜しんで準備に当たっていました。それを楽しげに見る先生方の姿もほほえましいものです。学園祭には、若人のパワーが不思議に結集するようです。
 
 さて、私の思い出話はいいとして、実は今、高校生の二男が、学園祭問題のまっただ中におります。
 二男の学校でも昨年まではバンド演奏がされていたといいます。先輩たちがドラムやらギター・ベースアンプやらを持ち込んで、ステージを作っていたとか。PA(音響設備)も格安で来てくれる業者がいたとかで、ちゃんと設置されたといいます。ところが今年、これが禁止になってしまいました。
 二男は小学校高学年から数年間「カワイのドラム教室」に通っておりましたので、一通り叩くことはできます(たいしてうまくはありませんが)。また中学3年生のときには仲間とバンドを組んで、文化祭でラルク・アン・シエルの曲を演奏したようです。高校になってからも同じようにやろうと思っていたらしいのですが、バンドメンバーが集まらないとか、諸々の問題からこれまではできずにおりました。しかし3年生になった今、メンバーも集まり、演奏曲も決まりと、着々と準備を整えていたようです。二男のバンド以外にも四つほどのバンドが出演を決めていたのですが、突如、学校側から「ドラムやアンプの使用は禁止」というお達しが出てしまったのでした。
 当然、バンド演奏希望者は、先生に抗議したようです。「なぜダメなのか」「去年までは、やっていたじゃないか」そんな声に対して学校側は「決まったことだから」と冷たい反応しか示さなかったといいます。それでもと突っ込むと「音が大きくてクラスによる発表の妨害になる」とか「この学校は生まれ変わるのだ」とか、子供たちには、とうてい納得のできない返答しかなかったといいます。
 
 その話を聞いた私と妻は、正直言って面白がっていました。
「なんか、学園ドラマみたいだねえ」
「ドラマによく出てくる学校みたいじゃん」
 などと茶化していたのですが、当の二男は真剣です。「どうしたらバンド演奏ができるか」と悩んでいる様子。
 いつもはちゃらんぽらんな二男が妙に真面目に突っ込んでくるので、私はつい、
「そんなにやりたいなら、学校側ともっとちゃんと話し合えよ」
と言ったのですが、
「副校長のところへ殴り込むしかないかな、口で抗議するだけで手は出さないけど」
などと言っています。
 そこで私が
「ケンカするんじゃないんだからな。そこはちゃんと押さえておけよ。ただお前たちは悪いことをしているわけじゃない。去年と同じように、学園祭でバンド演奏がしたいだけだろ。だったらその思いを徹底的に学校にぶつけるしかないんじゃないのか?」
と言ったのですが、二男は「そんなことは、すでにやっている」とにべもない。
「だったら、そうだなあ、みんなから署名を集めるとかだなあ……」
 私の言葉に元気がなくなっていきます。署名などというものに二男は乗り気ではありません。その日はそれくらいで終わりました。
 
 数日たったある日、夕食時に二男が言い出しました。
「みんなで話し合った結果、署名運動をすることにした。だから父さん、署名用紙を作ってよ」
「へ?」
 なんで私が作るのかが分からないし、そもそもそういうものは自分たちで作るべきだろうと諭すと、
「確かにそうだ。みんなに相談してみる」となりました。
 その後、二男たちはパソコンを使って署名用紙を作ったらしいのですが、エクセルで作ったようで「どうしてもうまくいかない」「文字が全部、片方へ寄ってしまい、真ん中に来ない」など、さんざんだったもよう。
 ということで、仕方がないので私が簡単な用紙を作りました。

 さて、署名用紙の束を抱えて学校へ行った二男は、その日、帰ってくると「まあ、結構書いてくれるよ」と言いました。ただ先生方にも求めたようですが「立場上、書くわけにはいかんな」と言われたといいます。この返答には、なかなか興味深いものがあります。「立場が違えば書いてやってもいいぞ」と言っているわけで、本心は二男たちのやっていることに反対しているわけではないことを臭わせているからです。こういう先生もいるのだと、なんだかホッとしました。
 そして今日、二男が「あの署名用紙、もっと出してよ。みんなが書いてくれるんで足りなくなった」と言ってきました。へー、大したモンだ。みんな面白がっているのか、それとも日ごろの不満が噴き出したのか……。理由は分かりませんが、思ったより今の高校生は熱いようです。

 私なんぞは、いつだったかにも書いたように、気弱な人間ですから、表だってケンカすることを好みません。しかしどうしても納得できないことをうやむやにしてしまうと、禍根を残すことになりますし、気持ちが悪くて気分が落ち込みます。これは嫌です。また納得できないことをそのままにしておくと「どうせダメと言われたものはダメなんだ」という投げやりな姿勢が生まれてきます。でも実際は、やってみなければ分からないのです。何事も結果は先に出てきません。過程があって、初めて結果が出るのですから。
 
 今回の署名騒ぎがどんな方向へ進むか、全く見当が付きません。もしかしたら署名を始めた数名の親が呼び出しを食らうかもしれませんが、それはもう覚悟しています。あるいは全校生徒の大多数の署名が集まり、学校側が態度を軟化してくれるかもしれません。それならそれで大成功なんですが。
 どんな結果が出るか、全く予想できないものの、私としては今回の騒ぎをとてもいいことだと思っています。学校側が突然バンド演奏(ドラムやアンプを使う)を禁止しました。それに対して抗議する生徒が現れました。普通なら学校側の言いなりになって諦めてしまうところでしょうが(二男たちのバンド以外は、演奏を諦めたといいます)、どうしてもやりたいと思い、自分たちで話し合って署名運動をすることにしました。すると意外に多くの生徒が署名してくれるという現実を目にすることができたのです。
 これは「やってみたから分かったこと」。やってみなければ分からなかったことです。どうせダメだと諦めていたら、署名してくれるみんなの気持ちも見えませんでした。でもそれが見えてきたのです。
 たとえ学校側が態度を変えず、結局、演奏できなかったとしても、それはそれで仕方がありません。いやそうだとしても、二男たちがやったことには大きな意味があると思うのです。「どうせダメだ」と諦めるのではなく、「とにかくやってみよう」と思う気持ちはとても尊いもの。そして、やってみたら新しい何かが見えてきたのです。それが分かっただけでも大きな意義があると思います。
 
 さて署名はどれだけ集まるでしょうか。また署名を見て学校はどうするでしょうか。まだまだ何も分かりませんが、私は今の時点で大満足しています。二男はまだまだ満足していないでしょうが……。
 でもやっぱりこの展開、学園ドラマっぽいですよね(笑)。

※バンド禁止問題の顛末は、次のエントリーの冒頭に少しだけ書いておきました(^^)。

Commented by バンドマン at 2014-06-27 16:39 x
それでどうなったのですか?
Commented by masarujan at 2014-06-28 16:49
バンドマンさん>
この記事の次の記事(2007年8月6日)の冒頭に少し書きましたが、たくさんの署名が集まり、学校側からテスト演奏の許可がでまして、結果、次男のバンドは文化祭で演奏できることになりました。
漫画みたいな流れですが、これ、事実なんですよ。
とはいえ実際の演奏は、モニタもなく、ステージ慣れもしていなくてで、惨憺たるものだったそうですが(笑)。
by masarujan | 2007-07-18 18:52 | 音楽 | Comments(2)

まあ、思いつきで書いてます……。落書きみたいなもんです。


by masarujan
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